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 岐阜薬科大学薬理学研究室 深澤和也大学院生(日本学術振興会特別研究員)、堀江哲寛大学院生(日本学術振興会特別研究員)、檜井栄一教授らの研究グループは、脳腫瘍グリオブラストーマ治療における、「がんの根治」を指向した新規の創薬ターゲットを発見しました

 グリオブラストーマは、脳組織に存在するグリア細胞という細胞が、がん化することで発症する疾患です。グリオブラストーマ治療における問題点の1つは、「がん幹細胞」の存在です。がん幹細胞は、がん細胞の親玉のような存在であり、治療抵抗性を持つことが大きな特徴です。したがって、がん幹細胞の制圧を指向した新規治療戦略の確立が、「がんの根治」に貢献することが想定されます (図1)。しかしながら、これまでに、「どの因子が、がん幹細胞の機能を制御するのか?」、「どの因子を創薬ターゲットとすることで、がん幹細胞を制圧できるのか?」について、詳細は明らかになっていませんでした。

 研究グループは、がん幹細胞に発現するCyclin-dependent kinase 8 (CDK8)という因子ががん幹細胞の機能を制御していることを発見しその詳細な分子メカニズムを明らかにするとともにCDK8がグリオブラストーマ治療における有望な創薬ターゲットとなることを明らかにしました。本研究成果は、様々な難治性がんに対する「がんの根治」を指向したがん幹細胞標的薬の創製に貢献できるものと期待されます

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1: がん幹細胞の制圧を指向した「がんの根治」の概念図。


 研究グループは、まず、バイオインフォマティクス解析という手法を用いて、グリオブラスオトーマ患者の腫瘍組織の解析を行いました。その結果、CDK8の発現が増加していることが分かりました。グリオブラストーマ患者由来のがん幹細胞のCDK8の働きを抑えることによって(= CDK8不活性化細胞の作製)、がん幹細胞におけるCDK8の役割を明らかにすることを試みました。その結果、がん幹細胞の機能の指標であるスフィア形成能が大幅に低下することが分かりました (図2)。さらに、CDK8不活性化細胞をマウスに移植したところ、腫瘍はほとんど確認されず (図3右)、観察期間中に死亡例は1例も出ることはありませんでした (図3左)。これらのことから、がん幹細胞の腫瘍形成能にはCDK8がとても重要であることが明らかになりました。

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2: がん幹細胞のCDK8の働きを抑えると、スフィア形成能が大幅に低下する。

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3: がん幹細胞のCDK8の働きを抑えると、グリオブラストーマの症状は顕著に改善される。(赤線で囲まれた範囲は腫瘍組織 : 右図上)


 次に、「どうしてCDK8の働きを抑えると、がん幹細胞の機能が低下するのか?」という疑問を解決することにしました。CDK8不活性化細胞について、詳細な解析を行ったところ、がん幹細胞の機能を調節しているc-MYCというタンパクの発現が低下していることが分かりました。したがって、CDK8c-MYCの発現を調節することでがん幹細胞の機能を制御していることが考えられました。

また、研究グループは、本研究で得られた知見を臨床現場に還元することを目指し、「CDK8の働きを抑える薬を使って、グリオブラストーマの症状を抑えることができるか?」という課題に挑戦し、KY-065という独自の新規CDK8阻害剤の開発に成功しました。KY-065をがん幹細胞に作用させると、スフィア形成能が低下することが分かりました。さらに、KY-065を作用させたがん幹細胞をマウスに移植したところ、マウスの生存期間は著しく改善されました。これらのことから、CDK8阻害剤KY-065新規グリオブラストーマ治療薬となる可能性が示唆されました。

 最後に、本研究で得られた知見と臨床データとの関連を明らかにすることを試みました。バイオインフォマティクス解析によって、大規模臨床データを解析したところ、CDK8の発現が増加しているグリオブラストーマ患者では生存率が低下していることが明らかになりました。

本研究では、以上のように産官学連携により、データ駆動型サイエンスを実践することができました。その結果、がん幹細胞の制圧を指向したグリオブラストーマの治療戦略においてCDK8は有望な創薬ターゲットとなることが示されました (図4)。

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4: グリオブラストーマ治療において、がん幹細胞のCDK8は有望な創薬ターゲットである。

本研究成果のポイント

  • 「がん幹細胞」は抗がん剤や放射線などの治療に対して抵抗性を持っており、「がん幹細胞」を制圧することで、がんの根治が期待できます。
  • グリオブラストーマ患者のがん組織において、CDK8が高発現していることを見出しました。

  • CDK8の働きを抑えると、「がん幹細胞」の機能が低下することを世界に先駆けて発見しました。

  • 独自に開発した新規CDK8阻害剤「KY-065」を用いることで、「がん幹細胞」の機能を低下させることができました。
  • 以上の成果は、「がん幹細胞」を標的とした難治性がんに対する革新的な抗がん剤の創製に繋がることが期待されます。

論文情報

  • 雑誌名:Oncogene
  • 論文名:CDK8 maintains stemness and tumorigenicity of glioma stem cells by regulating the c-MYC pathway
    (CDK8はc-MYC経路を介してグリオーマ幹細胞の幹細胞性や腫瘍形成能を制御する)
  • 著者:深澤和也, 門田卓也, 堀江哲寛, 徳村和也, 寺田隆一, 北口裕香, 朴奎珍, 落合信介, 岩橋咲幸, 岡山靖佳, 平岩茉奈美, 山田孝紀, 家崎高志, 金田勝幸, 山本めぐみ, 北尾達哉, 白波瀬弘明, 羽澤勝治, Richard W Wong, 藤堂具紀, 平尾敦, 檜井栄一)
  • DOI番号:10.1038/s41388-021-01745-1

研究室HP

https://sites.google.com/gifu-pu.ac.jp/labo-yakuri/